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アメリカ人から見た外タレの英語力#2 米人に聞いてみる

前回はアメリカ人から見た外タレ、すなわち米国以外のアーティストの歌の英語というのはいったいどの程度のものなのよ、という疑問の提起をした。今回は知人の米人2名(東海岸出身AとB)に、外タレの英語がどの程度のものなのか、聞いてみた。聞いてみたのは以下のアーティスト。いずれも違わぬビッグネームばかりである。こんなところでこんな事されているなんて知りもしないだろう。知ったところで気にするはずもないが。
Nickelback (Canada)
Coldplay, Oasis (UK)
U2, Enya (Ireland)
Rickey Martin (Puerto Rico)
ABBA, Cardigans (Sweden)
Bjork (Iceland)
JET (Australia)

まず、一般的な回答としては以下の通り。
一部を除き、米国人の発音との違いは見られない。すなわち、歌を聴いて米国人かそうでないかを区別するのは困難。歌としては、ほぼ全員問題ない。(A) (区別できるアーティストは後述)
まあまあ分かるかな。国籍は特定できないまでも、米国人でないことはなんとなく分かると思う。歌としては、ほぼ全員問題ない(B)。

各アーティストについて:
Nickelback (Canada)
カナダ出身ということを知らなかった(A)。

Coldplay, Oasis (UK)
UKの発音は、けっこう区別しやすい(AB)

U2, Enya (Ireland)
かなりアメリカナイズドされており(U2)、全く問題なし。

Rickey Martin (Puerto Rico)
英語の発音としては問題ないが、あまりにも歌に内容がなさすぎて、感動する余地がない(AB)。なるほど、それで和訳しても「アチチアチ」になる訳だ。大変よく分かりました。

ABBA, Cardigans (Sweden)
歌としては全く問題なし。喋ったら分からないけど(A)

Bjork (Iceland)
アクセントが強烈すぎる。アメリカの発音ではまったくない。しかし、それが歌詞の内容と相まって、よけいに歌のメッセージを強くしている(AB)。なるほど、カルトな人気を博すのもそういうところから来ているのかも。

JET (Australia)
歌を聴いたことがない(A)。アーティストそのものを知らない(B)。おかしいな。昔に住んでいたボストンではしょっちゅうかかっていたのだけどな・・・・・。

ということで、以下は当方の感想。
・歌よりも、喋りの方がアクセントはストレートに現れる。当たり前といえばそうだが、米国でもどうやら同じらしい。BoAの歌を聴いても国籍を当てる自信はないが、会ってしゃべればすぐ分かる(はず)。
・逆に歌は、メロディでアクセントやイントネーションがかなり固定化されてしまうので、アクセントの違いが出にくい。メロディがあるということで、ある程度はごまかせる。
・しかし、ということはだ、歌い手の発音に問題がなくても、メロディの作り方次第ではかえって変な曲になってしまう可能性があるかもしれない。日本人は日本語のトレーニングを長期にわたってしているので、たとえば「走る」という言葉一つとっても、「はしる」の「し」にアクセントを置く(とりあえず標準語としては)ことは誰でも知っていて、メロディを作るときにそれが自然に聞こえるように(意識しなくても)音符を置いていくことができる。しかし、そのへんのセンスが分かっていない人がメロディを作ると、なったく「なってない」歌になってしまう可能性がある。ということは、Bjorkを除いた今回調査の全員は、そういうセンスを持った人が曲を作ったか、あるいはそういう人のアドバイスを受けながら作った、ということになる(あるいはBjorkがわざと外して作っているか)。
・アメリカにも方言があるし、今回試したアーティストが標準的な英語からどれだけ離れているか、たとえば標準語と関西弁くらい離れているのか、というのを比較するのはここでは難しい。ただし、彼らと話をした限りでは、国土が広くて多人種国家である米国は、方言とか訛りについては日本語よりも寛容なのではないか、という印象を持った。
・面白かったのはBjorkで、なぜか二人とも「いや、別にオレは好きとかそんなんじゃないんだけどね・・・」といった態度を取ること。カルトな歌を好きというのは、あるいはBjorkの歌が好きだというのは、そんなに勇気の要ることなのか。あるいは彼女の歌を自分が分かってないだけなのか。
・前回のエントリーで出したLene Marlinの歌は、「まあ問題なし(A)」「ちょっとアクセント強いかな。アイルランドっぽいか?(B)」だそうで。


さあそこで日本人。今までもたくさんのアーティストが世界進出をしようとしてきた。ピンクレディー、矢沢永吉、松田聖子、ドリカム。世界を目指した、彼らの英語力というのはどうなのよ、と気になってくる。ヒットした歌もあればそうでないものもあり。その原因は歌なのか、発音なのか。例えばだ、以下の新旧2人あたりはどうだろうか。

ゴダイゴ
70年代後半に人気のあったバンド。「ガンダーラ」「銀河鉄道999」などが有名。5人のメンバーのうち2人は米国人?当時から英語の歌を多くリリース。当時小学生だった自分的には「英語はうまいんだよね?」と思っていたが、実際はどうなのか。


宇多田ヒカル
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(ジャケット写真、かっこうよし。元ダンナの才能を感じる)
新しめなところではこのあたり。海外生活が長いようだが、だからといって油断はできない。ちょっと住んでいなかっただけで、「いけてない」感は容易に作れてしまう。例えば、当方が「昨日クラブ行った」と言うだけで「なんだ行ってないじゃん」と言っている人には敏感に分かってしまう。そういうニュアンスからいろんな事が分かってしまう。言葉って怖いですね。宇多田ヒカルの歌は、基本的に日本語+英語のフレーズちょっと。ただそういう歌だと、時折入る英語のフレーズも「日本語的なフレーズ」になってしまっている可能性あり。それで判断されるのも本人が不本意と思われる(大きなお世話じゃと言われるな絶対)ので、ここでは本人が米国進出の際に作ったアルバム「EXODUS」から一曲「Easy Breezy」を選曲(このためにiTunesStoreで購入。200円なり)

さて、どうなる。

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2010年1月20日 00:53に投稿されたエントリーのページです。

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