犬を日本に輸入しようとする人がこのブログを読んでいるとは到底考えられないが、一応書き留めておきたい。
犬の輸入はけっこう大変だ。
・日本政府は動植物を介して病原菌、犬ならば特に狂犬病が日本に運び込まれることに神経を尖らせている。で、「ここには狂犬病はない」と日本が判断した国は世界中に7つ(例えばニュージーランド)くらいしかなく、米国を含むそれ以外の国から犬を輸入する場合、以下の手続きが必要となる。
1.犬の体に個体を認識できるマイクロチップを埋め込む。マイクロチップはISO規格に準拠したもので、規格外のチップの場合は、それを認識できる検査機械も犬の輸入の歳に持ち込まなければならない。
2.マイクロチップ埋め込み後、狂犬病の注射を2回、少なくとも1ヶ月あけて行う。
3.その後、犬の血液を日本政府が指定する研究所に送付し、狂犬病の抗体がある一定単位以上有ることを証明してもらう。証明書はオリジナルが必要。米国の場合、研究所は全米に2カ所しかない。
4.検査後、犬は180日(!)その国で待機する。
5.輸入の40日前までに、日本の動物検疫所に輸入の届け出を行う。
6.輸入のできれば2日以内に獣医に行き、犬が狂犬病にかかっていないかを確認、証明書をもらう。
7.次に動植物の輸出入を管理する政府機関(米国の場合はUSDA、United States Department of Agriculture)に行き、これまでに取得した書類が正しいことの証明をもらう
8.いよいよ犬を輸入し、日本の空港で検査をする。以上の書類がまとまっていれば1時間程度で国内に入れるが、不備があったら最大180日、検疫所に繋留される(犬の面倒は飼い主の出費で。業者もある(4000円/泊くらいなのでネカフェより高い)。お役所仕事なので嘆願や「大目に見てもらう」はまず通用しないと思った方がいい)
ということでうちの犬の場合、まず埋め込んだチップがISOでなかったのでチップを埋め込み直した等あれこれあり、犬だけが我々人間の帰国に間に合わなかった。輸入が可能な時期まで米国の友人宅に預かってもらい、2月に当方が米国に渡って犬を連れ帰ってきた次第である。なお、
・犬を単独で輸送する場合、現在は直行便しか認められない。すなわちボストンのように直行便がない場合、誰かが犬をニューヨークやシカゴまで陸送して、そこから飛行機に乗せないといけない(という理由で当方がわざわざボストンまで飛んだ)
・航空会社で利用できるケージ(犬を入れる檻。ケンネルとも言う)の大きさ、通風環境、給水設備等の規定は航空会社によって違う。当方が持っていたケージは米国国内線の規格にあわず、その場でケージを一つ購入する羽目になった
・そもそも12時間を超えるフライトに犬を載せることは出来ない。動物愛護の観点か
・その他予期できない理由(例えば天候)により、犬の輸送を(その場で)断られる可能性がある
以上、
・犬を連れて国外に住む場合は、帰国の準備だけでゆうに8ヶ月くらいはかかるので、もう日本を離れる前に帰国の準備をして置いた方がいい
ということだけは言っておきたいと思う。米国の場合、犬を引き取りに行ったその場で書類の不備を見つけて東奔西走したり、別の役所に突如行くことになったりと、トラブルがまず間違いなく発生するので、そのあたりも用心しておいた方がよい。今回はむこうで3泊したが、けっこう忙しかった。
なお、日本を出てアメリカに移る際、我々が乗った成田-ニューヨーク便は乗機時間が12時間15分。犬を載せられないことに渡米3日前に気付いた。15分くらいなんとかならないかとお願いしたが聞き入れてもらえず、サンフランシスコ便を犬用に別途確保(貨物スペース)、人間とは別便でボストン入り。体重は5kg未満だが片道10万円。体重あたりの輸送費で比べるとファーストクラス並みに金がかかったのであった。ま、なんとか向こうでも生活でき、無事に連れ帰れたので結果オーライだが、面倒だったことは間違いない。