テープの録音者は自分だけでなく、妻、父親その他もろもろだ。昔よく聴いたテープもあれば、この30年くらい一度も聴かなかったのでは、と思われるものもある。存在は知っていても興味が無くて聴かなかったものもあるが、とにかく全部ダビングということで、強制的に1度は聴きながら録音している。その中から思いがけなく「これは!」と驚くような(自分的にだが)傑作が出てくる事がある。曲の良さもさることながら、演奏・唄が実に生き生きしていたりすると、非常に得した気分になる。
昔も今も、世は歌にあふれている。名作も駄作も、みな時代の波に流され、ほとんどは消えていく。誰もが忘れてしまっているかも知れないが、一曲の歌それぞれに作曲者・作詞家がいて、歌う人がいて、演奏する人たちがいて、レコードに録音する人がいて。それをFMでかけろとリクエストする人、番組の編成に組み込む人、放送する人、またテープに録音する人がいて、こうして自分の耳に届いている。40年以上前に(自分的な)傑作を作ってくれた人に言いたい、「今聴いているぞ」と。で、これがテープとして残るまでの間に介在した皆さんには「ありがとうござました」と礼を言いたい気分である。