FLOOR L-86


Harley-Davidson ride in New England

左足のギアを「ガション!!」と入れてクラッチをつなぐと、あっけなく走り出す。
止まっているときは押すのも嫌(重くて全く動かず)だが、走り出してしまえば軽快、とは言えないまでも楽ちんである。
何より山のようなトルクと使いやすいクラッチ(250のように軽い。250並みとは言わないが)のおかげで
エンストする気がしない。これでエンストしたらかなり恥ずかしいだろう。

レッドゾーンは5500rpmから。最もHDらしい、ドコドコ感が味わえるのは2000rpm強。
連続的に金属ハンマーで車体を打たれているような感触で加速する。ハイウエイを100km/h強で走ると
6速2200rpmくらいだから、つまりハイウエイで非常に楽しめると言うことである。
ただ振動はそれなりにあるので、慣れないと手がしびれたりするかも知れない。1600cc近くもあるエンジンだし、
どうせ高回転まで回らないだろうと思いながらブン回してみたら、3500くらいから振動がウソのようにすっと消えて
スムーズに吹け上がったのには驚いた。このエンジン、いいわ。味もあるし良く回るし。やるじゃん!
(とHD様に無礼な言葉を吐いてみたりして)もっとも車体が重いこともあり、1600ccあるからといってイコール速い、
という訳ではないのだが・・。
液晶部分にはトリップメーターの他、時計も入っており重宝する。メーターの目盛りがやたらと細かいので高精度そうだが、
きっと乗っている人はそこまで気にしないのだろうな。タンク横の燃料注入口(右)、フタはあるが鍵はない。
左のフタに見えるところは燃料系。のぞき込まないと見えにくい。ぱっと見は石油ストーブの燃料系と同じだ。

ブレーキはシングルローター。効き味は残念ながら、というか思った通りというか、あまり効かない。
が、ブレーキを握ると「ジー」と音がする。どうやらマスターバック(この場合はエンジンの吸気の負圧を
利用してはいないだろうからマスターバックとは言わない?)等の倍力装置がついている模様。
そんなもの付けるのならローターを2枚にすればいいのに、と思うのだが、そこは1枚に抑えるのがHD流のこだわり、
なのだろう。なおバイク雑誌のHD試乗記事に「後輪加重の大きいHDは、前ブレーキより後ろブレーキで止まるのが有効」
なんてことが書いてあるので試してみたが、少なくともこの車体、効かない前ブレーキに輪をかけて後ろも効かない
(つまり全く当てにならない)。そういう訳で重たい車体とも相まって計画的な制動作業が必要となるので、
後でなんとかなるだろうと思ってスピード出してコーナーに入るとけっこう怖い思いをする
(止まらない上に曲がらない。おまけに重たい)。

地面の小石が写るほど磨き上げられている。エンジンを止めると、あちこちが冷えてチンチン音が盛大に
発生するあたりも、「鉄馬」感強し。このでかいエンジンのせいか、車体はそれなりにわなわなする(想像していたが)。
でかいエンジンの割には抑えられているとも言えるが。サスペンションが柔らかめの割には路面のでこぼこも
けっこう鋭く伝えてくる。突き上げもそれなりにあるが、逆の段差の場合、一瞬車体が浮くような感触が
しょっちゅう発生する(けっこう怖い)。これで飛ばせる人はかなり偉い、と思う。
またショックを吸収するときに感じるいろんな振動が金属質。例えばバネが縮む時なんかも、金属のバネが
ギシッとしなっている感触が伝わる。悪く言えば、金属同士あちこちで擦れ合っているんだろうなと思われる反面、
鉄の乗り物に乗っている感触としては、悪いもんではない(すぐネジが緩みそうな気がするが)。
なおこのエンジンガード、個人的には格好悪いので付けて欲しくなかったが、レンタルだし、
こかされる可能性もあるので致し方なし。
高速道路走行時に使用するハイウエイペグを使うと足を前に投げ出して乗れるが、ちょっと遠すぎた。
「おまえ足短いな」とバイクに言われているようで気分悪し。クソー。
それに足を投げ出してしまうと踏ん張れないばかりでなく、体重がお尻にしかかからないので
かえって疲れるような気がするのは自分だけか、という自分の言葉がむなしく響く。

ウインドスクリーンが付いていた。「付いてるけどいい?」と店で聞かれ、「変なことを聞くな」と思っていたが、
よく見たら簡単に取り外せる構造になっていた。当日は若干寒かったので付けておいたのだが、これの後ろで乱気流が
発生するようで頭がふらふらする。ハイウエイで頭を低くしたり近づけてみたりしたが影響は変わらず。
少なくともヘルメット周りの静かさは、スクリーンから頭を出した方が良かった。風洞実験なんてやってない方に500ルピー。

そんなわけで雨が降る予測は出ていなかったにもかかわらず、若干ぱらぱら降られて雨男の面目を大いに発揮
(Here There and Everywhere)。曇りなので紅葉もそれほどきれいに発色せず。
ま、しかし、こういう紅葉が続く丘をどこまでも走っていくのは非常に気持ちよし。
しかしこうして写真で見ると、エンジンガード、やはり邪魔だな。でかいバイクなのになんだか教習車みたい。

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Updated at Sun, Oct 19, 2008