Brimfield Antique and Flea Market
このようにモーターホームに荷物を詰め込み、現場で店を開く人も多い。
ここは今回一番面白かったところ、アンティークオーディオの店だ。
屋根に鎮座したVictor犬で、オーディオ屋とすぐ分かる。
例えばこれ。円筒形のレコードに針が乗っており、そこに直結されたラッパから音が出る。
ふと気がついたが、これはレコードに刻まれた振動を物理的に直接増幅する、
電気回路を介さない純粋な音響装置である。
こんなダイレクトでシンプルな音楽再生装置、現代の世界のどこにもないよ、な。
もし現代の技術力を駆使して蓄音機を再構成したら、どんな音が出るのであろうかと思うと、
けっこうわくわくしてくる。
ピックアップの部分。でかいラッパが絶妙なバランスでレコードに乗っている。
レコードはおそらくゼンマイ駆動だろうが、歯車・ベルトで何回も減速されている。
ちなみにラッパのでかいものでも、ここでは500ドルくらいで買うことは出来る。
安いと言えば安い?もっともレコードがいくらするのか分からないし、
ちゃんと動かし、メンテナンスするのにどのくらい手間がかかるのかは分からないが。
トーマス・エジソンの名前が誇らしげだ。
ラッパがキャビネットの中に内蔵され、コンパクトな形状に。ふたを開ければ演奏可能。
お客を呼んで「ほーら実は蓄音機」と自慢した家の主の顔が思い出される。
しかしこれ、言い換えれば、
蓄音機のラッパはインテリアの中で視覚的なノイズとしてとらえられていた、
と考えてもよいのかもしれない。米国では今もテレビを見ないときは家具の内側に隠す、という文化があるが、
当時からAV機器はインテリアの中での市民権を持っていなかった、ということになる。
レコードの溝からピックアップした振動はトーンアームを伝わって下に。
そこからラッパなつながって音の出る構造。
当時は鉄の針をピックアップとして使用。耐久性はよくなかったと聞くが(そりゃダイヤモンド針と比べれば)、
実際にどのくらい使えていたかは不明。しかし、こんなに何本も皿の中に置いておくようじゃ、
おそらくあっという間にすり減っていたのであろうと想像。
ちなみにこのレバー、ターンテーブルを止めるためのブレーキだろうか。
Victor製。右側に取っ手があるので持ち運び式だろう。
純粋な音響機器と言うことは、電気すら必要ないもんね。
これをピクニックとかパーティに持ち込んで「どうなのよ!?」と言った男の、得意満面の笑顔が想像される。
元祖ラジカセ、じゃなくてBoomBox。ハイカラだ。いかしてるぜ。