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アメリカ人から見た外タレの英語力#10 -米国の広さについて-

今回は、地理的な米国の広さと、音楽ビジネスへの影響について考えてみたい。

1.土地の広さについて
東海岸のBostonから西海岸のLAまで、直線距離で4300km。これは東京からカンボジア・プノンペンまでに相当する。プノンペンでどんな歌がはやっているか、知っている人はいるのだろうか?また面積比で考えても、米国の面積は日本の約25倍とされる。

bigamerica01.jpg

2.州ごとの人種の違いについて
地方によって、住んでいる人たちがかなり違う。人種についても,これだけ違う。
Massachusetts(Bostonがある東部)
81.9% 白人
6.8% ヒスパニック
5.4% 黒人
3.8% アジア

ミシシッピ州(南部)
61.4% 白人
1.4% ヒスパニック
36.3% 黒人 黒人がすごく多い
0.7% アジア

アイダホ州(ロッキー山脈近く、北西部)
88% 白人 白人が多い
7.9% ヒスパニック
0.4% 黒人
0.9% アジア

カリフォルニア州(西海岸)
44.2% 白人
34.9% ヒスパニック ヒスパニックが多い
6.0% 黒人
12.0% アジア人

人種が違えば言葉も違う。スペイン語のFM放送、Boston界隈ではほとんど聴かないが、西海岸では1/4くらいはスペイン語。FMに関しては全国区の放送はない(少なくとも当方は知らないし、他の局とのタイアップ企画も聴いたことはない)。街や通りの名前だって、東海岸だとHampshire「何とかシャー」のような、英国みたいな名前が多いが、西に行くと「Santa Margarita」(サンタマルガリータ)みたいなスペイン風の通りが多いし。東京とプノンペンで流行している歌の違いが分からなくても、東京-大阪くらいなら分かるだろうか?しかし、大阪に住んでいる人が人種も宗教も違う人だったとしたら?

要は何が言いたいかというと、ずっと遠くの州で何がはやっているなんて、米人だって誰も知らないということ。Boston近郊で走り回って、聞こえてくるFMはせいぜい隣の州の局まで。全国区のFM局なんてないが、流行が違うであろうことだけは分かる。よくアメリカンTOP40とか日本では流れているが、米国にいると非常に実感のないトレンドに思える。自分が聴いているFMとは全く違う歌がランクインしている。日本を含めた東アジア全体(韓国・中国・ベトナム・タイその他)のトレンドをまとめて、何が流行しているかを知ったとしても、自分のなじみのある歌とはまったく違うはずである。アメリカ合衆国はそのものは大きな国だが、州で交通ルール等が違っていたりして、我々が思っているよりは各州が独立した、州の集合体のようだ。音楽に戻ると、当方の感触としては、米国で音楽を聴いている人は、FMなら全国区の流行ではなく地元の流行を聞かざるを得ないし、ネット等であれば自分の好きなジャンルによりフォーカスして聴いているように感じる。

  • そういう状況で日本のアーティストが自分の歌を米国で流行させたいと思ったときに、全国区で始めるというのはまあないな、というのは分かる。州ごとにプロモーションで回るのか?いや、それは無理だ。アメリカに骨を埋めるつもりなら、それはありかも知れないが。
  • まず攻める州を決めること。人口が多くて、自分の歌を流してくれそうなFM局がある場所。日本と違い電車よりも車主体の通勤形態になっている米国では、FMの需要性は日本よりも圧倒的に高い(調査をしたわけではないが、放送局も多いし、感覚的にそう思う)はず。
  • あるいは、iTunes Storeのような場所。地理的な問題は解決できるが、広告料はどのくらいかかるのだろうか。ただ、新人を知ってもらう際には、ああいう「楽曲を取りに行く」場所よりもFMみたいに「流れてくる」場所の方が、不特定多数の人に「知ってもらう」機会は多いのではないかと思う。Amazonなどの「推薦」「他の人はこういうCDを買ってます」的な表示も、まずは実績あっての話だろうし。
  • さらに予算があればMTVみたいなところで全国区放映するのだろう。日本を制覇したような人なら、それもできるだろう。

いずれにせよ、それも英語圏の人に聞きやすく、受け入れられやすい曲があっての話だが。それだけは間違いない。

次回は、非常に当たり前な話になってしまうのだが、今までいろいろと書き殴ってきたことのまとめをしたい。

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2010年2月21日 21:40に投稿されたエントリーのページです。

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