FLOOR L-93


空の広さに関する考察

#2-3:地平線説
遠くにある地上物の究極として、地平線・水平線というものもある。空と地面が交わって
見分けがつかなくなる境界線。 ・・・というのもアリかなと考えてみたが、
遠くのものが見えなければ広さを感じられない、というのも経験上違うような気がする。
20年前、夏のスキー場のリフト乗り場から見上げた山の背後に広がる空、地平線も見えなかったが、
あの空は自分には広く見えた。と考えると、地上物をもって空の広さを知るのはちょっと無理があるような、
気がしてならない。水平線方向には数百キロ先が見えるかも知れないが、天頂の方向にはせいぜい12km
(それ以上高い雲はそうそうない、緯度にもよるらしいが)。
遠くが見える事って、空の広さを感じるに当たりそれほど大事なことなのか、という疑問がわく。

#3:空にあるもの
ということで、ここからはやはり空を見て考えていきたい。

#3-1:雲の量説
地上のものを見るまでもなく、空の青はイコール遮るもののない無限を見ていることになる。
その面積が広ければ広いほど、空も広いことになる、というのはどうか。この説が正しければ、
一片の雲もなければ空は最大限に広いことになる。が、どうもそこまで単純なことではなさそうだ。

#3-2:雲の高さ説
空を覆う雲が高ければ、空は広く見える、というのはどうか?雲が低ければ雲までの距離は短い。
これはけっこう正しいような気がする。雲が高ければ空は広い。
が、同様に雲がなかったら?というと、なんとなくこれも違うように感じるような気がする。

#3-3:空の色説
マチュピチュに行ってきた友人が言っていた。「まっ黒に見えるほど空が青い」空が青いということは、
空気の透明度が高い、すなわち遠くまで見えて空が広く感じる、という考えはどうか。
これは一つあるような気がする。ぼやけた空よりもコントラストの強い空。こちらの方が広く見える、ような気がする。

#4:空気のボリューム
・・・とここまで対象物までの距離をどう人間が関知するか、ということを考えてきたわけだが、
もしかしてそれ以外の何か、たとえば空気の体積感なんかを感じているのではないか、という考えに至る。

#4-1:空気のボリューム説
空が広いというのは、イコール自分の上に広がる空気の体積がどのくらいあるように感じるか、と言う説。
雲の高さや距離、地上物の距離、空気の透明度などから、どれだけたくさんの空気が自分の上に広がっているか、
それをもって空の広さを認識する、という説。どうですか。今までの説をいっしょくたにしたような気が
しないでもないが。

#5:それ以外説
もしかしたら、人間は視覚に頼らなくても空の広さを感じられるのではないか、という説。

#5-1:空気の流れ説
空気の中に匂いとかが含まれているとか、風の動きを関知して空間の広さを感じる、なんてことはないか。
例えば雄大な景色をガラス張りの部屋から眺めたら、それは広いと感じられるのだろうか、
とか。ちょっと無理があるか。

#5-2:音説
コウモリのように音の反響を人間は聞くことが出来る。で、その反響の返らなさを関知して空の広さを認識する、
なんてことはないか。それが本当なら、無響室に入った瞬間に我々は広いと感じられるはず、だ。

・・・ということであれこれ考えてきたが、当方の現在の考えは#4:空気のボリューム説だ。
体積が大きいものを広いと感じる、というのは、考えてみれば自分にはごくごく自然なことのように感じる。
もしかしたらこれ以外の考えがふと思い浮かぶかも知れないが、そのときはまたアップデートしたい。

以上、もうずっと昔からつらつら考えてきたような、考えていなかったような気がしていたが、ここまできて
なんとなく考えが落ち着いたような気がする。自分はヒマ人か?という気もするが、これからもふと思った疑問を
つらつら考えていきたい、たとえ誰も気にしないようなしょうもないことでも。

ここまでおつきあいいただき、お疲れ様でございました。

KPL Blog アメリカのかたちに戻る

KPL Blog2 Thoughts; sinking bubblesに戻る


Kodama Propulsion Laboratoryホームに戻る

Copyright 1996-2013 Ryo kodama
Updated at Tue, May 26, 2009