名盤について考える#5(長文)
一年ほど前に、長男に「巷で名盤と言われているロックの名盤を聴かせて、反応を見る」という企画を立ち上げて、あれこれ聴かせてみた。現在、どうなっているかというと、止まってしまっている。というのは、名盤と言われるものに対する長男の反応が総合的にあまりにも悪く、やめてしまったのである。現状あえて言うなら、
・親と子どもの好みに関する関係は、ある程度はありそう。少なくとも父が聴いて「これはどうかな・・・?」と思ったものは、ほぼ長男にもヒットしない。
・長男にのみヒットするものは、NirvanaとかMetallicaとか、比較的新しいもの
・Bob Dylanとか、Bruce Springsteenとか、父的にヒットしない古いものには見向きもしない
・で、巷で言われる名盤というのはそういう60-70年代の古いアルバムばかりで、長男ヒット率があまりにも低く、いやになってしまった。
・その割には、ついでに借りたり買ったりしている、名盤と紹介されているわけではないアルバムには食いつき良い(この前のAlicia Keys良かったよ!あとNoel Gallagharも!)
・調査用アンケートも、そういうことでやらされ感が大きく、やめている。新しい音楽を聴いてみることの妨げになったらあかん。そうでなくても(ほとんど)ヒットしない曲を延々聴かせているわけで。
考えるに、
・長男は長男の、自分は自分の時代を生きている。その時代に自分や長男が音楽を聴いて、それが集まって流行になる。流行になった音楽の中で、時代に流されなかったものだけが名盤になって残る。「個人が聴く-流行」というのはプロモーションとかもあるので必ずしも一方向ではないが、少なくとも個人個人から支持されない音楽は流行にならないし、ましてや名盤にはなり得ない。「名盤だ」という理由だけで個人にヒットする、という逆の流れは考えにくい
・ましてや名盤だからと違う時代の人間に聴かせることは、(その時代の支持されない音楽よりはマシとはいえ)相当本人にヒットする何かがないとダメなんだろうな
・なんてつらつら考えるに、名盤だからと検証もしないで長男に聴かせている自分はどうなのか、という気がしてくる。少なくとも「これいいぞ」くらい言うのが親の努めじゃないのか。
・結局名盤100なんて、自分の知らないどっかのおじさんが「これ、初めてテープ逆回転させた!」「史上初のコンセプトアルバム!」なんて理由で選んだりしているのもあるわけで。それは歴史上のマイルストーンかもしれないし、それを聴いて知識を広げることには意味があるだろうが、自分の好きなアルバムを探そうという時には、このアプローチでは決してないのだろう。
ということで今まではランダムに選んだりしつつ(なかば強制的に)聴かせていたが、今後はもう少し自然に聴かせていこうかな、なんて思ったりしている。また名盤でなく、名曲というくくりにしたら何か出てくるかもしれない。